役不足 と 力不足 は、仕事・ビジネスで使われますが、
意味を正しく理解していますか?
間違っていると、
正反対の意味で伝わってしまう言葉なので、注意が必要なのです。
今回は、役不足・力不足の正しい意味と使い方について、見ていきましょう。
ひとことで表すと
【役不足】その人の能力や力量に対して、役が足りないこと
【力不足】職務や役割に対して、その人の力が足りないこと
詳しい解説
文化庁の調べによると、50%が誤った意味で使っていることがわかりました。
あなたはどうでしょうか?一緒に見ていきましょう。
役不足
- 俳優などが、自分に割り当てられた役に対して、不満を抱くこと。
- その人の力量に比べて、役目が軽すぎること
元々、1の俳優の役柄から生まれた言葉で、
自分の実力に比べて、小さな役しかキャスティングされないことに対する不満から、使われました。
次第に役者のみならず、会社の役職や社会的な役割など、
ビジネス全般で通用するようになったという経緯です。
その人の能力や力量に比べて、与えられた役目が軽すぎることが意味として正解。
つまり(人に対して)役が不足している状態ですが、
力不足とごちゃ混ぜになると、あれ?という事態に。
力不足
意味:与えられた職務・役割を果たす力が足りないこと
言葉のとおり、(その人の)力が足りない という意味で、
自分が未熟であることを、謙虚さをこめて伝えるときに使われています。
ビジネスシーンでは類語として、
若輩者(じゃくはいもの)・不束者(ふつつかもの)というケースもありますね。
例文・類語
・Aさんが部長補佐では役不足の感がある。
***・ベテラン俳優が、そんなチョイ役なんて役不足だよ。
***
・Bさんには役不足かとは存じますが、リーダーをお願いできますか。
類語として、物足りない・不十分・易しいがあるように、
簡単な仕事という意味が込められています。
× 役不足ではありますが、精一杯部長を務めさせていただきます。
自分は未熟と言っているつもりが、もっと上のポジションが自分にはふさわしいという、
正反対な意味で伝わってしまうケースです。
・力不足の私ですが、精一杯務めさせていただきます。
***・若輩者ですが、精一杯務めさせていただきます。
類語なので、どちらも同じ意味の表現です。
まとめ
今回は、役不足 と 力不足 の違いについて見てきましたが、いかがでしたか?
正反対の意味になってしまうとは、恐ろしいですよね。
役不足を“自分の能力が不足している”という意味で、誤用しないようにしましょう。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・文化庁 「役不足」とは、何が足らないのか?