「忌憚なき意見をお聞かせください」は、
会議や打ち合わせなど、ビジネスの場で使われ、日常生活ではあまり見ない表現です。
どんな意見を言えば正解だろう…と、戸惑った人はいませんか?
今回は、読み方から順番に見ていきましょう。
ひとことで表すと
忌憚なき意見 = 遠慮せず率直な意見
【状況】
・忌憚(きたん)・・はばかって遠慮することの意。
・敬語ではないが、基本的に上の立場から目下に対する表現。目下からは避ける方がベター。
詳しい解説
「忌憚」を初めて見た人は、なんと読むのだろう…と思ったかもしれませんね。
読み方:きたん
意味: (否定的表現を伴って)はばかって遠慮すること一般的に否定的な形で使うため、“忌憚のある”とは言いません。
忌
忌む(いむ)
意味:遠慮すべきこと。はばかりがあること。死・けがれ・不吉な例など。
憚
憚る(はばかる)
意味:さしさわりがあることを感じて慎む。遠慮する。
つまり、「忌憚なく」というのは、遠慮のない率直な意見という意味です。
“聞きにくいことも遠慮なくどうぞ”と、言いたいときに使うことができます。
会議や打ち合わせで、率直な意見を求めるとき、
あるいはアンケートなどで、正直な声を聞きたいときに、使われることが多いですね。
注意点としては、“忌憚”自体は敬語表現ではありません。
中立な一般的な名詞なので、上下問わず使うことができる表現と考えられそうですが、
前提として、上の立場から目下へ向けて使われる言葉。
つまり、目上の人や取引先に対して使うのは、避けるほうが良いでしょう。
また、"忌憚なく〜" は、堅苦しい印象を与え、恐れ多い気持ちを抱かせてしまうこともあります。
”ご遠慮なく〜” にすると柔らかく、かつ丁寧に伝えられますよ。
例文・類語
以下の文章は、よく見かけると思います。
・忌憚ない意見を聞かせてください。
・忌憚のない意見交換をお願いいたします。
・忌憚なくお申し付けください。
意見に対するお礼には、"率直な・貴重な" と変えることで、印象が良くなります。
△ 忌憚ないご意見ありがとうございます
◯ 率直なご意見ありがとうございます。
◯ 貴重なご意見ありがとうございます。
誰に対してもわかりやすく伝えるには、類語を使うと良いでしょう。
・率直な意見をお聞かせください。
・ご遠慮なくお申し付けください。
・気兼ねなくお申し付けください。
また目上の人に対して意見を伝える場合は、以下のように、クッション言葉を添えましょう。
・大変恐縮ですが、忌憚なく申し上げます。
・失礼を承知の上、忌憚なく申し上げます。
まとめ
今回は「忌憚なく」について見てきましたが、いかがでしたか?
言われたときは、遠慮せず率直な意見を述べてくださいね。
参考文献:
広辞苑第6版、明鏡国語辞典、類語例解辞典