普段「ら抜き言葉」を使ってはいませんか?
若者の間で増えてきている誤用表現のひとつです。
今回は、「ら抜き言葉」について、学んでいきましょう。
ひとことで表すと
“〜られる” が正しい形だが、ら を抜いて “〜れる” にしたもの
<状況>
・“可能”な意味を表すときに起きる
・受け身・尊敬の意味と区別するためと広まりつつあるが誤用
詳しい解説
それでは、確認していきましょう。
「ら抜き言葉」とは
可能な意味を表す動詞に、本来必要な “ら” を抜いてしまう表現のこと。
“られる”が付いたものから、ら を抜いて “れる” とするのは誤用です。
上一段・下一段・カ変活用の動詞のみで起きるので、解説していきます。
ら抜きが起きる形
- 上一段活用
“〜ない”の形にしたとき、
“ない”の直前の語の母音が、“イ”になる動詞
動詞 | 〜ない | 可能な表現 | ら抜き言葉 |
起きる | 起きない | 起きられる | 起きれる |
着る | 着ない | 着られる | 着れる |
見る | 見ない | 見られる | 見れる |
- 下一段活用
“〜ない”の形にしたとき、
“ない”の直前の語の母音が、“エ”になる動詞
動詞 | 〜ない | 可能な表現 | ら抜き言葉 |
決める | 決めない | 決められる | 決めれる |
食べる | 食べない | 食べられる | 食べれる |
出る | 出ない | 出られる | 出れる |
- カ変活用・・“来る” のみ
動詞 | 〜ない | 可能な表現 | ら抜き言葉 |
来る | 来ない | 来られる | 来れる |
ちなみに、五段活用の可能な表現には、“ら” が入りません。
“〜ない”の形にしたとき、
“ない”の直前の語の母音が、“ア”になる動詞
動詞 | 〜ない | 可能な表現 |
書く | 書かない | 書ける |
話す | 話さない | 話せる |
読む | 読まない | 読める |
例文・類語
「見る」の例文を3つ挙げてみます。
⑴ 私はその絵を見られます。
⑵ 隣の人に、その絵を見られた。
⑶ 山田様が、その絵を見られます。
“見られる”の意味が、それぞれ違うことに気付きましたか?
1は可能、2は受け身、3は尊敬の意味合いです。
全部同じなのです。
文化庁によると、受け身や尊敬と区別するために、話し言葉では認めようか…
という話も出ているようですが、現時点では誤用扱い。
例文で「ら抜き言葉」が起きるのは、⑴可能 です。
⑴
◯ 私はその絵を見られます。
◯ 私はその絵を見ることができます。
× 私はその絵を見れます。
誤解のないように、可能であることを伝えたいときは、
“見ることができます”と、言い換えるとよいでしょう。
まとめ
今回は、「ら抜き言葉」について見てきましたが、いかがでしたか?
無意識に、“ら” を抜いて使っていることがあるかもしれませんね。
誤用なので、特にビジネスの場では注意しましょう。
参考文献:
広辞苑第6版、明鏡国語辞典、
できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方
文化庁「Ⅰ言葉遣いに関すること」