お願いします、確認しました など、
ビジネスメールで丁寧に書く時、よく「致します」を使うと思います。
「致します」「いたします」
きちんと使い分けていますか?
なんとなく漢字と平仮名で書いている人も多いですが、
社会人であれば、違いを知ることが大切です。
今回は、致します・いたします の違いについて、
見ていきましょう。
ひとことで表すと
“する” ことをへりくだるとき
「いたします」
“〜する” “〜をする” の、〜の部分を補助するはたらきの場合
詳しい解説
簡単にいうと「致す」は、「する」の謙譲語ですが、
もう少し詳しく意味を見てみましょう。
致す の意味
致す の意味
(1) 自動詞「する」の丁重語(謙譲語)
(例) ほのかな香りが致します
(2) 他動詞「する」の謙譲語
自分の動作に対して、へりくだった気持ちで丁寧さを添えながら敬意を表す
(例) それは私が致します
・自動詞:目的語がなくても意味が完結する動詞
(例) 走る・咲く
・他動詞:目的語がないと意味が完結しない動詞。多くは“を”を添える
(例) 本を読む・お茶を飲む
(3) 補助動詞「〜する」の謙譲語
別の動詞の後ろに付き、動詞の補助をして謙譲の意味を表す
通常は、平仮名で書く
「致します」と「いたします」
一般的に、漢字で「致します」と書くときと、
平仮名で「いたします」書くときが決まっています。
do の意味合いで「する」ことをへりくだる場合は、
「致します」と漢字で書きます。
「〜する」「〜をする」のように、
〜にあたるものを補助する場合には、「いたします」と平仮名で書きます。
いたします は、以下の表現に、言い換えることも可能です。
- 申し上げます
- させていただきます
例文と類語
以下の例文は、◯× どちらでしょうか?
(1) それは私が致します
(2) 私が対応致します
(3) ご連絡致します
(4) よろしくお願い致します
順番に見ていきましょう。
***
答え:◯
それは私がする、行う(do)という意味の “する” を、
へりくだった表現です。
漢字の「致します」が正解。
***
答え:×
(1)と似ていますが、これは平仮名「いたします」が正解。
“対応する” の する は、補助動詞です。
(正解) 私が対応いたします
***
答え:×
連絡する の する は、補助動詞なので、
平仮名の「いたします」が正解です。
(正解) ご連絡いたします
***
答え:×
メールでよく使う表現ですね。
お願いする の謙譲表現です。
この“する”は、お願い の補助をしているため、
平仮名の「いたします」が正解。
(正解) よろしくお願いいたします
「よろしくお願いいたします」については、こちらに詳しく解説しています。
まとめ
今回は、致します・いたします の違いについて見てきました。
漢字・平仮名どちらも意味は伝わりますが、
正しい表現で書くようにしましょう。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典