できる人は知っている「致します」「いたします」の違い

 

お願いします、確認しました など、
ビジネスメールで丁寧に書く時、よく「致します」を使うと思います。

「致します」「いたします」
きちんと使い分けていますか?

なんとなく漢字と平仮名で書いている人も多いですが、
社会人であれば、違いを知ることが大切です。

今回は、致します・いたします の違いについて、
見ていきましょう。

***

ひとことで表すと

致します
“する” ことをへりくだるとき

***
いたします
“〜する” “〜をする” の、〜の部分を補助するはたらきの場合

詳しい解説

簡単にいうと「致す」は、「する」の謙譲語ですが、
もう少し詳しく意味を見てみましょう。

致す の意味

致す の意味
(1) 自動詞「する」の丁重語(謙譲語)
 (例) ほのかな香りが致します

 

(2) 他動詞「する」の謙譲語
 自分の動作に対して、へりくだった気持ちで丁寧さを添えながら敬意を表す
 (例) それは私が致します

自動詞・他動詞とは?
自動詞:目的語がなくても意味が完結する動詞
  (例) 走る・咲く
他動詞:目的語がないと意味が完結しない動詞。多くは“”を添える
  (例) 本を読む・お茶を飲む

 

(3) 補助動詞「〜する」の謙譲語
 別の動詞の後ろに付き、動詞の補助をして謙譲の意味を表す
 通常は、平仮名で書く

***

「致します」と「いたします」

一般的に、漢字で「致します」と書くときと、
平仮名で「いたします」書くときが決まっています。


do
の意味合いで「する」ことをへりくだる場合は、

致します」と漢字で書きます。

〜する」「〜をする」のように、
〜にあたるものを補助する場合には、「いたします」と平仮名で書きます。

いたします は、以下の表現に、言い換えることも可能です。

  • 申し上げます
  • させていただきます
***

例文と類語

以下の例文は、◯× どちらでしょうか?


(1) それは私が致します

(2) 私が対応致します

(3) ご連絡致します

(4) よろしくお願い致します


順番に見ていきましょう。

(1) それは私が致します
***
答え:◯

それは私がする、行う(do)という意味の “する” を、
へりくだった表現です。

漢字の「致します」が正解。

***
(2) 私が対応致します
***
答え:×

(1)と似ていますが、これは平仮名「いたします」が正解。

“対応する” の する は、補助動詞です。

(正解) 私が対応いたします

 

***
(3) ご連絡致します
***
答え:×

連絡する の する は、補助動詞なので、
平仮名の「いたします」が正解です。

(正解) ご連絡いたします

***
(4) よろしくお願い致します
***
答え:×

メールでよく使う表現ですね。

お願いする の謙譲表現です。

この“する”は、お願い の補助をしているため、
平仮名の「いたします」が正解。

(正解) よろしくお願いいたします

 

「よろしくお願いいたします」については、こちらに詳しく解説しています。

***

まとめ

今回は、致します・いたします の違いについて見てきました。

漢字・平仮名どちらも意味は伝わりますが、
正しい表現で書くようにしましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典

 

 

こちらの記事も読まれています。