よく聞く “どおりで” という表現、
実は、2種類あることを知っていますか?
もうひとつは “どうりで” です。
音が似ているため、話している分には気にしないかもしれません。
しかし、文字にするときは、
きちんと使い分ける必要があります。
今回は、「どおりで」と「どうりで」について、
見ていきましょう。
ひとことで表すと
・意味:原因や理由がわかって納得するさま・なるほど
・“どうりで〜と思った” の形が多い
「どおりで」
・意味:それと同様だ・それと同じ状態だ
・一般的には、漢字の「通りで」と書く
(例) その通りだ・その通り
詳しい解説
どっちが正解?
いきなりですが、AとBの例文について
それぞれどちらが正しいでしょうか?
(A)
・どうりで暑いわけだ
・どおりで暑いわけだ(B)
・いつもどうりでお願いします
・いつもどおりでお願いします
(A)は、どうりで暑いわけだ
(B)は、いつもどおりでお願いします が正解。
口で言うと同じように聞こえますが、
文字で書くと違います。
漢字の意味から理由を知りましょう。
どうりで の意味
どうりで
漢字:道理で
意味:原因や理由がわかって納得するさま・なるほど
(例) どうりで強いと思った
“道理”は、そうあるべき物事の道筋・正しい論理という意味です。
道理にかなった説明 のように使われますよね。
平仮名で書くときは、
“どうりで〜だと思った” の形が多いです。
「なるほど」と言い換えることができます。
どおりで の意味
どおりで
漢字:通りで
意味:それと同様だ・それと同じ状態だ
(例) 予想通りの反応・その通りだ
漢字の“通り”には、さまざまな意味があります。
意味 | 例文 |
通路 | 通りに出て遊ぶ |
往来・行き来 | 人の通りが絶えない |
通り抜けること | 風の通り・通りのいい声 |
それと同じ状態・方法であること | 言われた通りにする・予想通り |
方法や種類を数える語 | それは2通りある |
“どおりで” という意味で使う場合も、
一般的には、漢字で書きます。
- 思っていたことと同じ状態であること
- 変わらず前のままであること
など、込められたニュアンスが微妙に異なりますが、
同じであるという点では、共通しています。
類義語は “と同じような” です。
例文で言い換えて、確認してみましょう。
・例年通りの暑さ
・例年と同じような暑さ
*・以前の通りにはならなかった
・以前と同じようにはならなかった
まとめ
今回は、「どおりで」と「どうりで」について見てきました。
どっちかな?と迷ったときのために、
それぞれ言い換え表現を知っておくのもいいですね。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典