「あとで後悔する」
この文章を見ると、
“あ、間違いだ”と気付いた人が多いとも思います。
正しくは、後悔する・あとで悔やむ ですね。
これを重複表現といいます。
実は、私たちは知らず知らずのうち
重複表現を使っているケースが多いのです。
今回は、 重複表現について見ていきましょう。
ひとことで表すと
・二重表現・重言ともいう
(代表例)
× あとで後悔する
◯ 後悔する / あとで悔やむ
詳しい解説
重複の読み方
・じゅうふく
・ちょうふく
どちらが正しいのか悩む人もいると思います。
本来「ちょうふく」が正しい読み方です。
しかし、“じゅうふく” と読む人が増え、広まった結果、
現在は、慣用的な読み方として認められています。
どちらも正解ですが、
厳密には、“ちょうふく” がベターです。
詳しくは、以下 にまとめていますので、
合わせて読んでみてください。
重複表現とは
重複表現とは、同じような意味を重ねた言い方のことです。
二重表現・重言(じゅうげん)ともいいます。
以下のような、デメリットがあるので、避ける方がよいでしょう。
- キレイな文章じゃない
- 字面が悪い
- 冗長
- 稚拙
- 読みにくい
重複表現には、大きく3つのケースがあります。
ひとつずつ見ていきましょう。
同じ意味の重複表現
一番に思い浮かぶ重複表現は、同じ意味を繰り返すものです。
よく見る表現を、一覧にまとめました(五十音順)。
重複した表現 | 正しい表現 |
あとで後悔する | 後悔する / あとで悔やむ |
あらかじめ予定しておく | 予定しておく |
違和感を感じる | 違和感がある / 違和感を抱く 違和感を覚える |
各部署ごと | 各部署 / 部署ごと |
過半数を超える | 過半数に達する / 半数を超える |
必ず必要 | 必要 |
車に乗車する | 乗車する / 車に乗る |
頭痛が痛い | 頭が痛い / 頭痛がする |
全て一任する | 全て任せる / 一任する |
第1回目 | 第1回 / 1回目 |
断トツの1位 | 断トツ *断トツは ”断然トップ” の略 |
引き続き継続する | 継続する |
ふだんから常備する | ふだんから備える / 常備する |
返事を返す | 返事をする |
まず最初に | まず / 最初に |
まだ未定 | 未定 |
同じ言葉の重複表現
無意識に重複表現を使っているケースとして、
同じ言葉を繰り返すものがあります。
例文を見てみましょう。
× その説明は、…と説明します。
◯ その説明は、…です。
◯ それは、…と説明します。
例文2
× Aさんが言うには、…と言いました。
◯ Aさんが言うには、…です。
◯ Aさんは、…と言いました。
口頭での説明では、あまり気にならないかもしれません。
しかし、メールやTeams・Slackなどのチャットでは
明らかに2回同じ言葉があるため、違和感を覚えます。
「こと」の重複表現
ビジネスのみならず、日常生活でもよく目にする重複表現として、
「こと」を繰り返すものがあります。
これも例文を見てみましょう。
◯ 大切なのは、…をすることです。
◯ 大切なことは、…です。
「こと」が多いと、くどい印象を受けます。
注意するだけで、すっきりとした文章に変わりますね。
まとめ
今回は、重複表現(二重表現・重言)について見てきました。
無意識に使ってしまうため、気をつけていきたいですね。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方