相手に食べ物を贈るとき、敬語を使って何と言いますか?
・ご賞味ください。
・お食べになってください。
・お召し上がりください。
“食べる”の敬語は、いろんな表現があるので迷いますよね。
今回は「食べる」の敬語について、学んでいきましょう。
ひとことで表すと
尊敬語:お食べになる・上がる・召し上がる
謙譲語:いただく・頂戴する
<状況>
・お上がりになる・お召し上がりになる は二重敬語だが、広く使われている
・ご賞味ください は誤り
詳しい解説
“食べる” の敬語について、確認していきましょう。
食べる の敬語
尊敬語
お食べになる・上がる・召し上がる
*お上がりになる・お召し上がりになる
お食べになる < 上がる・召し上がる
“食べる”という言葉自体が、品がないイメージを与え、
失礼になることがあると、知っておくとよいでしょう。
*お上がりになる・お召し上がりになる について、補足します。
- 尊敬語 “上がる” + “お〜なる” の尊敬表現
- 尊敬語 “召し上がる” + “お〜なる” の尊敬表現
本来は二重敬語ですが、現在は広く使われています。
一つの文のなかで、同じ種類の敬語を二重に使ったもの
謙譲語
いただく・頂戴する・頂戴いたす
いただく < 頂戴する < 頂戴いたす
謙遜表現で “食べさせていただく”は、文法上間違いではありません。
しかし、誰かのお陰で生活できている という意味で用いることが多いです。
食べ物を贈るときの表現
× ご賞味ください。
◯ ご笑味ください。
賞味 (しょうみ)
食べ物を褒めて、おいしく味わうこと
笑味 (しょうみ)
つまらないもので笑って食べてくださいと謙遜する語。賞味 の謙遜表現
賞味 にすると、自分が贈ったものを褒めて食べてください という意味になるため、誤りです。
“しょうみ” と口にすると同じなので、手紙やメールで使いましょう。
ちなみに、レストランや料理人が使うのは問題ありません。
話し言葉では、以下のような表現がオススメです。
・心ばかりの品ですが、どうぞ召し上がってください。
心ばかり
気持ちのほんの一部だけを表すしるし
例文・類語
それでは、尊敬表現の例文を見ていきましょう。
△ どうぞ食べられてください。
△ どうぞ食べになってください。
◯ どうぞ お上がりください。
◯ どうぞ召し上がってください。
“食べられる” は、文法上間違いではありません。
ただ、前述した 食べる の言葉自体の品がないイメージと、
“食べることができる”という、可能な意味でも受け取れます。
尊敬表現としては、避けるほうがよいでしょう。
まとめ
今回は「食べる」の敬語について見てきました。
贈り物を食べてください と伝えるときも、正確に使いたいですね。
参考文献:
広辞苑第6版、明鏡国語辞典、
「言いたいこと」から引ける敬語辞典、
できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方、
大人の語彙力が使える順できちんと身につく本