「ご遠慮ください」は禁止!ちょっとならOKではない理由

 

●更新日:2023/05/24

先日Twitterで、以下の投稿が話題になりました。

ここだけの話…「ご遠慮ください」って、
できればやって欲しくない、遠慮してくれたら助かるぐらいの意味だと思ってた

***

“禁止”を遠回しに伝える、
日本語の婉曲的な表現を知らない人も多いようです。

今回は、「ご遠慮ください」について、
見ていきましょう。

***

ひとことで表すと

ご遠慮ください
・禁止 の婉曲的な表現
・ちょっとならOK は間違い

***
・「お控えください」も禁止の婉曲的な表現

詳しい解説

AとB、どちらの意味が正しいでしょうか。

 


「飲食は、ご遠慮ください」
A. できれば飲食してほしくない
B. 飲食は禁止


 

答えは「B. 飲食は禁止」です。

それでは、解説していきましょう。

***

遠慮 の意味

遠慮
(1) 人に気をつかって、言葉や行動を控えめにすること
  例:遠慮はいらない

(2) 断る・やめる などの意味の婉曲な言い方
  例:今回は遠慮させていただきます
    喫煙は、ご遠慮ください

*

例文の「飲食は、ご遠慮ください」は、
(2) 断る・やめる などの意味の婉曲な言い方 の意味。

しかし、この意味を知らないために、
(1) 人に気をつかって、言葉や行動を控えめにすること
で、解釈してしまう人がいるようです。

飲食はやめてください、あるいは 飲食禁止 のように、
はっきりと書くのは、
命令口調であり、キツい印象を与えます。

よって、ご遠慮ください にすることで、
遠回しに、婉曲的な表現にしているのです。

日本語の趣深い、素敵な伝え方ですが、
異なる解釈してしまうのであれば、本末転倒ですよね……
*

実は英語表記では、
以下のように、はっきりとダメと書いてあるものも多いです。

Do not eat or drink here と書かれています。

誤解のないようにするには
日本語でも「飲食禁止」と、はっきりと書く方がいいのかもしれません。

***

例文

(例) 撮影は、ご遠慮ください

この場合は、
数枚なら撮影OKだけど撮りすぎないで遠慮してね ではありません。

撮影は禁止 という意味です。
*

(例) そのイベントは遠慮します

これに対して
「遠慮しなくていいよ!」と返事された、という事例もあるようです。

遠慮 は、“断る”を婉曲的に伝える場合にも使います。

行きません のように、はっきりと断るのは、
相手に申し訳ないという気持ちがあり、避けたいですよね。

その場合に、遠慮します と伝えるのです。
*

(例) 飲食は、お控えください

お控えください も同じように、
やめる ことを、婉曲的に伝えるときの表現です。

配慮しながら少しであればOK という意味ではありません。

禁止あるいはダメ ということを
やわらかく伝えているのです。

***

まとめ

今回は、「ご遠慮ください」について見てきました。

言葉は生き物 と呼ばれるように、
意図をはっきりと伝わるようにするためには、
表現も変えていく必要があるのかもしれないですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典

 

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