●更新日:2023/06/02
・ご足労いただき
ビジネスシーンで登場する、
相手がわざわざ来てくれたときに使う表現です。
実は、いつでも使えるものではありません。
今回は「ご足労」について、見ていきましょう。
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ひとことで表すと
「ご足労」
・相手がわざわざ足を運んで来てくれたときに伝える表現
・基本的に社外の人に使う
・使えるのは、足を運んでもらうことが決まった後
・依頼の段階ではNG
・相手がわざわざ足を運んで来てくれたときに伝える表現
・基本的に社外の人に使う
・使えるのは、足を運んでもらうことが決まった後
・依頼の段階ではNG
詳しい解説
ご足労 の意味
「足労」の読み方は、”そくろう”。
人に足を運ばせることです。
足を使って移動したことによる、疲れや労力という意味合い。
接頭語 “ご” を付けた、丁寧な言葉です。
その人にわざわざ来てもらう、
あるいは、指定した場所へ行ってもらうときに使います。
足を運んでもらうことが決まった後に、相手を労う表現です。
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上司に使ってもOK !?
基本的には、社外の人に使う言葉です。
ただし自分が主催の冠婚葬祭に、上司などが出席した場合は、
上司に対して使っても、問題ありません。
しかし、社外の人がいる場所で、
上司に ご足労 という言葉を使うことはNGです。
ちなみに、返事をするときは、謙遜するような表現は避けましょう。
△ それほどでもありません
△ 大したことはありません
*
◯ この度はお世話になります。よろしくお願いします。
◯ こちらこそ、お時間をいただき、ありがとうございます。
◯ こちらこそ、その節は大変お世話になりました。
***
シチュエーション別の使い方
相手の来訪が決まったとき
- ご足労をおかけします。
- ご足労をおかけして、申し訳ございません。
- ご足労をおかけしますが、よろしくお願いします。
*
当日相手に会ったとき
- (遠方より)わざわざご足労いただき、ありがとうございます。
- この度はご足労いただき、恐縮です。
- 本日はお足元の悪い中、
ご足労いただきましてありがとうございます。
*
相手が帰るとき
- (本日はお忙しいところ)
ご足労いただきまして、ありがとうございました。
*
相手が帰った後
- 先日は大変ご足労をおかけしました。
ご足労 は、
相手に来てほしいと依頼する段階で、使うことができません。
押し付けがましい印象を与えるからです。
× ご足労をお願いしてもよろしいでしょうか◯ お越しいただけますか◯ ご来訪はいただけますか
相手に来てもらうときの表現なので、
自分が足を運ぶときに使うのは、誤用です。
また、“ご苦労様です”のような使い方もできません。
× 御社にご足労させていただきます。
× ご足労様です。
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言い換え表現
- お越しいただき
来訪が決まる前の段階や、
相手が進んで足を運んでくれるときにも使うことができます。
◯ お越しいただき、ありがとうございます。◯ ご足労いただき、ありがとうございます。
- 来ていただき
シンプルな表現ですが、敬語として問題ない表現です。
◯ 来ていただき、ありがとうございます。
- お手数をおかけして
- お手間をおかけして
“足労”の疲れや労力に、焦点を当てると、
お手数 や お手間 と言い換えることもできます。
◯ ご足労をおかけして、申し訳ございません。
◯ お手数をおかけして、申し訳ございません。
◯ お手間をおかけして、申し訳ございません。
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まとめ
今回は、「ご足労」について見てきました。
クッション言葉として使うと、
感謝と恐縮の意味、どちらを伝えたいかによって、その後の表現が変わりますね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典