「〜して下さい」や「お願いします」だと、押し付けがましいかな?と思うとき、
「幸いです」を使うことはありませんか?
相手へお願いするときの丁寧な表現ですが、
目上の人に対する敬語としては、失礼にあたるかもしれないのです。
今回は「幸いです」の正しい使い方について、見ていきましょう。
ひとことで表すと
◯ いただきますよう、お願いいたします。
【状況】
・(相手が)〜してくれたら、(自分は)ありがたい という意味
・確実に依頼をお願いしたいときは、“お願いいたします” と伝えるほうが良い
詳しい解説
では意味や使い方をみていきましょう。
「幸いです」は、主にメールや文書で相手へ依頼するときに使います。
“さいわいです” と読み、意味は以下のとおりです。
(相手が)〜してくれたら、(自分は)ありがたいです。
(相手が)〜してくれたら、(自分は)助かります。
念のため、“幸い”の意味を確認しましょう。
幸い (さいわい)
・運がよく恵まれた状態で、しあわせなこと。幸福。幸運。
・(副詞的に)しあわせにも。運よく。
つまり「幸いです」は、全体的に丁寧に見える一方で、
相手よりも自分に焦点があたっている表現ともいえそうです。
頼みごとをやるかやらないかは、あなたに任せますという、控えめなニュアンスもあるため、
頼みごとを必ず実行してほしい!という場合はNG。
また、“です”と断定的に終わっていることで、
一方的な自分の要望と受け取られる可能性が高いです。
相手に失礼な印象を与えかねず、
目上の人に対しては適切ではないと考える方がよいかもしれません。
頼みごとを確実にお願いしたい!という場合は、
“お願いいたします”と、はっきり伝えましょう。
例文・類語
・ご確認いただけますと幸いです。
・ご確認いただけますと幸いに存じます。
・確認いただけますよう、何卒よろしくお願いいたします。
「幸いに存じます」は、“思う”の謙譲語である“存じます”を使っています。
自分をへりくだることで、より丁寧さが増します。
よりあらたまった場面では、「幸甚に存じます」を使う人もいますよね。
幸甚の読み方は “こうじん”で、非常にありがたいと思う という意味です。
とはいえ、目上の人には依頼するのであれば、
「よろしくお願いいたします」が、無難といえそうです。
まとめ
今回は、相手へお願いするときの表現「幸いです」について見てきました。
いかがでしたか?
一見丁寧に見えても、意味から考えると、ベターではなさそうですね。
お願いするときは、素直に “お願いいたします” にするほうが、
相手への配慮になるかもしれません。
参考文献:広辞苑第6版、明鏡国語辞典