迷いやすい!しづらい・しにくい の違いと使い分け

 

 

ある理由で、Aさんに言うことが難しい場合、
どちらの表現を使いますか?

・Aさんには、言いづらい
・Aさんには、言いにくい

どちらも間違いではありませんが、
ニュアンスが少し異なります。

 

今回は、しづらい・しにくい について
見ていきましょう。

ひとことで表すと

  • しづらい
    意図的な動作に使う
    主観的
    で、精神的な困難さというニュアンスが強い
***
  • しにくい
    意図的・非意図的の両方の動作に使う
    物理的客観的な理由による困難さについても◯

 

詳しい解説

しづらい・しにくい の意味

しづらい
接尾語(動詞の後ろに付く)
漢字:し辛い
意味:その動作をすることが難しい

 

漢字を見るとわかる通り、“辛い(つらい)”なので、
「しずらい」は誤用です。

◯ しづらい
× しずらい
***

しにくい
接尾語(動詞の後ろに付く)
漢字:し難い(にくい)

意味:
・難しい・することが難しい・やりにくい
・そうならない傾向がある・なかなか〜しない

 

 

しづらい・しにくい の違い

両方とも、ある動作を行うことが難しいという意味ですが、
微妙にニュアンスが異なります。

 

しづらい
意図的な動作のみに使い、
自然現象を表す動詞や、非意図的の動作にはNG。

主観的で、精神的な困難さというニュアンスが強いです。

 

(例)
× この部屋は冷えづらい
◯ この部屋は冷えにくい

 

***

しにくい
意図的・非意図的の両方の動作に使い、
客観的な理由による困難さについても、表すことができます。

(例)
・働きにくい
・錆びにくい素材

 

以下の場合は、受け取る意味合いが変わっていきます。

(例) 
・入りづらい大学
何か個人的事情もあって、精神的な圧迫感がある印象を受ける

・入りにくい大学
倍率が高いという意味でも、個人的事情でも使える

し難い の意味

ちなみに、似たような言葉に、
〜し難い(がたい)」があります。

ある動作を行うのに心理的な抵抗を覚え、
その動作を行うことに踏み切れないという意味です。

物理的・技術的に困難な場合には、使いません。

(例) 言い難い話、離れ難いカップル

***

例文・類語

以下の文章が、しづらい・しにくい
どちらが当てはまるか、見てきましょう。

例文1
× 洗濯物が乾きづらい
◯ 洗濯物が乾きにくい


“乾く”は意図的ではないため、「しにくい 」が正解です。

***

例文2
◯ この文章は読みづらい
◯ この文章は読みにくい

“読みづらい”は、
内容のレベルが高くて難しいことが想像できます。

また、“読みにくい”は、字が小さいなど、
物理的に難しいときに使えます。

 

例文3
・あの上司には伝えづらい

・ここでは伝えにくい

“伝えづらい”は、上司が厳しいのかもしれません。

また“伝えにくい”は、
周りの音が大きくて騒がしい場合などが考えられます。

このように同じ動詞「伝える」でも、
状況によって、使い分ける必要があるのです。

***

まとめ

今回は、しづらい・しにくい について見てきました。

ある動作をすることが難しいという意味ですが、
状況に応じて、正しく使い分けていきたいですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・類語例解辞典
・続弾!問題な日本語

 

 

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