●更新日:2023/05/16
最近、以下の表現を見かけました。
・ご使用頂き、ありがとうございます
・本日は休ませて戴きます
どちらも“いただく”という漢字です。
頂く・戴く の違いはわかりますか?
「頂戴する」で見たり使ったりすることはあっても、
違いを説明するのは、意外と難しいかもしれません。
今回は、頂く・戴く について、見ていきましょう。
ひとことで表すと
**
・頂 の意味 → 頂上・頭の上にのせる
・戴 の意味 → ありがたく受け取る
**
*ありがたいという気持ちを込める場合は、“戴く”
*“戴く”は常用漢字ではないため、ビジネスでは “頂く” でよい
詳しい解説
いただく の意味
広辞苑には区別せず、以下のように書いています。
いただく(頂く・戴く)
・頭の上にのせる
・敬意を表して、高くささげる
・崇めて大切に扱う・敬い仕える
・「もらう」の謙譲語・賜る・頂戴する
・「…してもらう」の謙譲語
・「飲む」「食べる」の謙譲語
つまり、ほとんど同じ意味ということです。
漢字「頂」「戴」 の意味
それぞれ漢字の意味は、以下の通りです。
頂
・頭の最上部・物の最上部
・頭や物の上にのせる
→ 大切にする・敬い扱う という意味に転じた
*
戴
・尊んで押しいただく
・物をうやうやしく顔の上にささげる
・ありがたく受ける
*
漢字の意味から考えると、
戴く にすることで、気持ちが込められています。
目上の人から、ありがたく受け取るときなど、
ありがたいという気持ちを込めたいときは
“戴く”にするとよいですね。
ただし、一つ注意点があります。
「戴」の“いただく”という読み方は、
常用漢字には含まれていません。
文化庁による、一般の社会生活において、
現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すもの
「戴」は、音読みの“タイ”だけなのです。
もちろん、戴く と使うこと自体は、間違いではありません。
しかし、常用漢字の観点で考えると、
ビジネスシーンでは、基本的には “頂” を使うとよいでしょう。
頂く・戴く・いただく の使い分け
漢字か平仮名か、どちらが正しいか迷うことがありますよね。
「頂く(戴く)」
・もらう・食べる・飲む の謙譲語
「いただく」
・〜してもらう の謙譲語
補助動詞として使う場合は、平仮名が正解です。
通常の表現 | 頂く・いただく を使った表現 |
お土産をもらった | お土産を頂いた |
美味しく食べた | 美味しく頂きました |
教えてもらえますか | 教えていただけますか |
褒めてくれた | お褒めいただいた |
詳しくは、以下にまとめているので、
合わせて読んでみてください。
まとめ
今回は、頂く・戴く の違いについて見てきました。
常用漢字かどうかは、普段あまり気にしないかもしれません。
より気持ちが込めたいときは、
“戴く”にすると考えれば、使い分けやすいですね。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・新漢語林
・常用漢字表 (文化庁 平成22年内閣告示第2号:最新版)