●更新日:2023/09/04
「かたじけない」
現代の日常生活では、なかなか耳にしないかもしれません。
時代劇などで見聞きする、侍言葉という印象もあります。
あまり使わないとはいえ、いざという場合に
意味や使い方を正しく知っておきたいもの。
今回は「かたじけない」について、
見ていきましょう。
ひとことで表すと
・意味:ありがたい・恐れ多い
・感謝の気持ちを込めて伝える改まった表現
詳しい解説
かたじけない の意味
かたじけない
形容詞
漢字:忝い・辱い
意味:
・感謝にたえない・ありがたい
・尊くてもったいない気持ち・恐れ多い
恩恵や好意を受けて、
身にしみてありがたい という意味です。
一般的に使う言葉が「ありがたい」と考えると、
「かたじけない」は、改まった丁寧な表現といえるでしょう。
尊さが損なわれるような というニュアンスで、
恐れ多くて、もったいない という意味合いもあります。
ちなみに、似たような言葉の「めんぼくない」は、
恥ずかしくて人に顔向けできない、申し訳ない という意味。
混同されやすいですが、意味は異なるので注意しましょう。
かたじけない の漢字
かたじけない を漢字で書くと、
「忝い」あるいは「辱い」です。
漢字で書いても、読めない人も多いため、
たいていは平仮名で書きます。
ですが、漢字についても簡単に見てみましょう。
「忝」の読み方は“テン”。
漢字自体に、
はずかしめる、かたじけない という意味があります。
天に対する心の意味から、
自分の受けている物事が、身の程以上であり、
自分がそれを汚している という謙遜の気持ちです。
その謙遜の気持ちから、感謝の意味を表すようになりました。
「辱」は、恥辱 と書くように、
ジョク・はずかしめる と読みます。
身分不相応の行為に対するニュアンスが強いです。
類語:ありがたい・恐れ多い・かたじけない
「かたじけない」と似たような言葉に、
「ありがたい」と「恐れ多い」があります。
どれも身に過ぎたことで恐縮である
という意味合いをもちます。
ありがたい・かたじけない は、
感謝する気持ちを込めて、使われることが多いです。
恐れ多い は、
高貴な人から受ける行為に対して、
礼を失するようで恐れる気持ちというニュアンスがあります。
類語の使い分け
ありがたい
(例)
・ありがたい教え
・ありがたく頂戴します
・ありがたいことに天候に恵まれました
恐れ多い
(例)
・恐れ多くも、社長からお褒めの言葉をいただいた
・社長自ら起こしとは、恐れ多いことです
*
かたじけない
(例)
・ご好意かたじけなく思います
・ご配慮いただき、誠にかたじけなく存じます
・お心遣いかたじけない次第です
まとめ
今回は「かたじけない」について、見てきました。
頻繁に見聞きする言葉ではないかもしれません。
聞いたときやピッタリな状況で使えるように
意味をしっかり把握したいですね。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・類語例解辞典