間違いが多い「肝に銘じる」命じる ではない理由は?

 

「肝に銘じる」という表現は、
一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

意味はわかっていても、
書くときに、漢字を間違えることが多い慣用句の一つです。

今回は、「肝に銘じる」について、学んでいきましょう。

ひとことで表すと

肝に銘じる
× 肝に命じる

***
  • 読み方:きもにめいじる
  • 意味:心にしっかりと刻みつける

 

詳しい解説

まずは、意味を確認しましょう。

肝に銘じる

意味
・心にしっかりと刻みつける
・心に深く刻みつけるように記憶して忘れない

「肝に銘ずる」と書くこともあります。

記憶にとどめておくというよりも、
今後同じ轍を踏まないという、決意の表れの意味合いを含んだ言葉です。

 

読み方
カン / きも

意味
・きも・肝臓・五臓の1つ
・心・まごころ・精神 (例:銘肝・肺肝)
・要・大切なところ (例:肝要・肝心)

このなかで、肉体のなかの重要な部分である を表しています。

読み方
メイ

意味
・記す、心に刻み込んで忘れない (例:肝銘)
・金や石に刻みこんだ文 (例:銘文)
・戒めのことば (例:座右の銘)

“銘” には、金属に名を刻みつけるという意味があります。

 

銘肝 (めいかん)

聞きなれないかもしれませんが、
「銘肝 (めいかん)」という言葉があります。

意味
・忘れられないほど深く心に感じること
・心に刻みつけて忘れないこと ( = 感銘を受ける・肝銘を受ける)

つまり「肝に銘じる」は、中国発祥の言葉で、
漢文を訓読して、仮名を交えた文に書き改めたものなのです。

「肝に命じる」と書くのは、よく見られる間違いです。

‘命’ の意味も見てみましょう。

読み方
メイ・ミョウ/ いのち

意味
・いのち・生命
・言いつける・申しつける・掟 (例:命令・任命)
・名づける (例:命名)
・めぐり合わせ・さだめ (例:運命・宿命)
・目当て・目標 (例:命中)

心に命じるのではなく、心に刻みこむから、「肝に銘じる」なんですね。

 

例文・類語

ここでは、例文を見ていきましょう。

・同じ過ちを繰り返さないよう、肝に銘じた。

・ご忠告を肝に銘じます。

言い換えたい場合の表現を紹介します。

・心に刻む
・胸に刻む

***

・骨に刻む
 深く心にとどめて忘れないようにする、という意味の慣用句

先ほどの例文に、当てはめてみましょう。

・同じ過ちをしないよう、心に刻んだ。
・同じ過ちをしないよう、胸に刻んだ。
・同じ過ちをしないよう、骨に刻んだ。

 

まとめ

今回は、「肝に銘じる」について見てきましたが、いかがでしたか?

いざというとき、正しい漢字で書けるように覚えておきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

参考文献:
広辞苑第6版、明鏡国語辞典、新漢語林
明鏡 ことわざ成句使い方辞典

 

 

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