「肝に銘じる」という表現は、
一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
意味はわかっていても、
書くときに、漢字を間違えることが多い慣用句の一つです。
今回は、「肝に銘じる」について、学んでいきましょう。
ひとことで表すと
× 肝に命じる
- 読み方:きもにめいじる
- 意味:心にしっかりと刻みつける
詳しい解説
まずは、意味を確認しましょう。
肝に銘じる
意味
・心にしっかりと刻みつける
・心に深く刻みつけるように記憶して忘れない
「肝に銘ずる」と書くこともあります。
記憶にとどめておくというよりも、
今後同じ轍を踏まないという、決意の表れの意味合いを含んだ言葉です。
肝
読み方
カン / きも
意味
・きも・肝臓・五臓の1つ
・心・まごころ・精神 (例:銘肝・肺肝)
・要・大切なところ (例:肝要・肝心)
このなかで、肉体のなかの重要な部分である 心 を表しています。
銘
読み方
メイ
意味
・記す、心に刻み込んで忘れない (例:肝銘)
・金や石に刻みこんだ文 (例:銘文)
・戒めのことば (例:座右の銘)
“銘” には、金属に名を刻みつけるという意味があります。
銘肝 (めいかん)
聞きなれないかもしれませんが、
「銘肝 (めいかん)」という言葉があります。
意味
・忘れられないほど深く心に感じること
・心に刻みつけて忘れないこと ( = 感銘を受ける・肝銘を受ける)
つまり「肝に銘じる」は、中国発祥の言葉で、
漢文を訓読して、仮名を交えた文に書き改めたものなのです。
命
「肝に命じる」と書くのは、よく見られる間違いです。
‘命’ の意味も見てみましょう。
読み方
メイ・ミョウ/ いのち
意味
・いのち・生命
・言いつける・申しつける・掟 (例:命令・任命)
・名づける (例:命名)
・めぐり合わせ・さだめ (例:運命・宿命)
・目当て・目標 (例:命中)
心に命じるのではなく、心に刻みこむから、「肝に銘じる」なんですね。
例文・類語
ここでは、例文を見ていきましょう。
・同じ過ちを繰り返さないよう、肝に銘じた。
・ご忠告を肝に銘じます。
言い換えたい場合の表現を紹介します。
・胸に刻む
深く心にとどめて忘れないようにする、という意味の慣用句
先ほどの例文に、当てはめてみましょう。
・同じ過ちをしないよう、心に刻んだ。
・同じ過ちをしないよう、胸に刻んだ。
・同じ過ちをしないよう、骨に刻んだ。
まとめ
今回は、「肝に銘じる」について見てきましたが、いかがでしたか?
いざというとき、正しい漢字で書けるように覚えておきましょう。
参考文献:
広辞苑第6版、明鏡国語辞典、新漢語林
明鏡 ことわざ成句使い方辞典