「人気の動画を見て、一人で爆笑していました。」
この表現を使ったこと、あるいは、見聞きしたことはありませんか?
正しい?間違い?どっち?
また「失笑」も、異なる意味で使われることが増えています。
「爆笑」と「失笑」について、
今回は、本来の意味と広まっている意味を、学んでいきましょう。
ひとことで表すと
・本来:大勢が一斉に、大声で笑うこと
・広まっている意味:はじけるように大声で笑うこと
*広辞苑(新版)では、“大勢” の記載がなくなっている
失笑
・本来:こらえきれずに、ふき出して笑うこと
・広まっている意味:笑いが出ないほどに呆れること
詳しい解説
それでは、爆笑と失笑の意味について、見ていきましょう。
爆笑について
爆笑
・本来の意味:大勢が一斉に、大声でどっと笑うこと
・広まっている意味:はじけるように、大声で笑うこと
大勢かどうかは関係なく、
一人でも使われることが増えていますが、もともとは誤りでした。
過去形の理由は、
2018年に改定された広辞苑の新版では、“大勢” の記載がなくなったから。
というわけで、
現状としては、一人で爆笑することも、誤りとはいえない状態です。
大きい口・大きな声で笑うことを表す言葉が、
他にもいくつかあります。
大笑い
大声で笑うこと
高笑い
単独で、あたりかまわず大きな声で笑うこと
哄笑(こうしょう)
一人でも大勢でも、大きな口をあけて笑うこと
(例)
◯ 彼女は指摘したあと、哄笑した。
◯ 彼の冗談に、みんなが哄笑した。
失笑について
失笑
・本来の意味:(笑ってはいけない場面で)思わず笑い出すこと。こらえきれずに、ふき出すこと。
・広まっている意味:笑いが出ないほどに、呆れること
“失”を 失う という意味で解釈して、使う人が増えている言葉です。
なんと、6割を超えたという調査結果も。
失笑 の“失”は、
抑え込んでおくべきものを、抑えきれずに、うっかり外へ出してしまう
という意味が正解。
“失言”と同じ意味合いと考えれば、わかりやすいかもしれません。
(例) 失笑を買う
意味:愚かな言動のために、人から笑われること
【その他】“笑”を使った言葉
他にも“笑”を使った言葉があるので、見てみましょう。
苦笑
苦々しく思いながら、仕方なく笑うこと。苦笑い。
嘲笑 (ちょうしょう)
あざけって笑いものにすること。あざけり笑うこと。
(例) 世間の嘲笑を買う
微笑
にっこり笑うこと。ほほえみ。
(例) 微笑を浮かべる
冷笑
人をさげすんで笑うこと。あざ笑うこと。
(例)
・他人の冷笑を買う
・冷笑を浮かべる
まとめ
今回は、爆笑と失笑 について、見てきました。
言葉は生きものなので、時代によって変わるものです。
今の状態を把握したうえで、使うことが大切ですね。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・類語例解辞典
・日本人が無意識に使う日本語が難しすぎる!
・文化庁 連載「言葉のQ&A」
「失笑する」人は笑っているか