●更新日:2023/05/15
・私の方から説明させていただきます。
このような表現を、仕事で使ったことはありませんか?
「〜の方」をつけると丁寧に見える印象がありますが、
間違えやすい言葉なので、注意が必要です。
今回は、「〜の方(ほう)」について見ていきましょう。
ひとことで表すと
◯ AとBについてはAの方を採用します。
× こちらに署名の方をよろしいでしょうか。
・サイド(side)や方角を伝えたいとき → ◯
・比較対象の中のひとつを表すとき → ◯
・基本的には「〜の方」を省略しても伝わる
詳しい解説
まずは、「方(ほう)」の意味をおさえましょう。
方(ほう)の意味
⑴ 方向・方角、その方向にある場所
(例)
・南の方に進む
・私の方を見る
・店の方まで行く
⑵ 並べていくつか考えられるものの一つ
(例)
・酒より菓子のほうがいい
・話すことは得意だが、書く方は苦手だ
⑶ 話題のものをぼかして、遠回しにその部面であることを表す
(例)
・銀行の方に勤めています
・プライベートの方は順調ですか
⑶のように、
本来伝えたいことをぼかして遠回しに伝える = 婉曲表現にすることは、
敬語で表すときのあるあるです。
ここでコンビニや飲食店などで、
以下のような表現を聞いたことはありませんか?
・お飲み物の方はいかがいたしましょうか。
・お釣りの方になります。
⑶を意識するあまりなのか、〜の方 が付いているケースです。
これらは、一般的に「バイト敬語」と呼ばれており、
方角も、並べる比較対象もないので、間違いです。
余談ですが、
私たちは普段意識せずに、以下の意味でも使っています。
多くは平仮名で書きます。
・どちらかというとこれだという意味 (例:背は高いほうだ。)
・適当である意味、また提案を表す (例:行くなら飛行機のほうがいい。)
例文・類語
ここまで読んできて、
いちいち意味を気にしていられない!もっと簡単に…!と、思う人もいるかもしれません。
以下を見てみましょう。
・担当者の方から連絡いたします。
・担当者 から連絡いたします。
これは、サイド(side)という方向になるため、適切な表現です。
ですが、「の方」を省略しても失礼にはならず、
きちんと意図が伝わるのです。
・AとBについては、Aの方を採用します。
・AとBについては、Aを採用します。
・C社は、北の方へ行くと見えます。
・C社は、北へ行くと見えます。
どうですか?
婉曲な表現にしなくても、
素っ気ない印象には、案外見えないですよね。
まとめ
今回は、よく登場する「〜の方(ほう)」について見てきました。
極論、省略しても大丈夫。
最初は不安かもしれませんが、ぜひトライしてみてください。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典