意外と迷う「送る」「贈る」違いと使い分け

 

「拍手を送る」
 
よく見る表現ですよね。
 
時々「拍手を贈る」と書いてあることもあります。
 
 
送る・贈る、どちらが正解なのでしょうか?
 
普段なんとなく使い分けているけれど、
使う時に迷うこともあるかもしれません。
 
 
今回は、 「送る」と「贈る」について見ていきましょう。
***

ひとことで表すと

「送る」:単なる伝達・郵送
「贈る」:祝福・贈呈の気持ちがこめて与える
*
違いは、“気持ち” があるかどうか

詳しい解説

送る の意味

「送る」 send
(1)こちらの物を、別の所に動かして移す
・物や情報が、先方に届くようにする
 例:メールを送る。被災地に救援物資を送る。
*
・ある場所へ人を差し向ける
 例:優秀な人材を送る。隣国に使者を送る。
*
・順次に次へ移し動かす
 例:バケツを手で送る。膝を送る。
**
(2)相手へ拍手や声援を与える
 例: エールを送る
*
(3)去りゆくものに、別れがたくて付いていく
・去っていく人に同行して、ある所まで行く
 例: 駅まで送る
*
・そこに残った人が去っていく人をしっかりと見届ける
 例:山田さんを送る会
*
(4) 時を過ごす、ある仕方で生活する
 例:幸せな人生を送る
「送る」は、物や人だけではなく、
合図を送る・楽しい生活を送る のように、抽象的なものにも使います。
今回の「贈る」との違いは、以下の意味で用いる場合です。
・物や情報が、先方に届くようにする
・相手へ拍手や声援を与える
***

贈る の意味

「贈る」 give / present
●<共通>気持ちをこめて、人に物を届ける
(1)感謝や祝福の気持ちをこめて、人に金品などを与える
 例:誕生日にプレゼントを贈る。はなむけの言葉を贈る。
*
(2)功績を褒めたたえて、賞や勲章を与える
 例:皆勤賞を贈る
*
(3)官位や称号などを与える
 例:博士号を贈る
「贈る」には、感謝・お礼・好意などの気持ちをこめて、
改まった形で何かを与える意味があります。
与えるものは、 物品・言葉・賞や位など、さまざまです。
***

送る・贈る の違い

「送る」は、単なる伝達・郵送で、
「贈る」は、祝福・贈呈の気持ちをこめて与える
とニュアンスが強いです。
2つの大きな違いは、“気持ち” があるかどうか。
***
それでは、以下の場合はどちらが正しいでしょうか。
・拍手を送る
・拍手を贈る
よく見るのは、「拍手を送る」です。
拍手は、ただ両手を打ち合わせるだけではなく、
時には、賞賛や賛成などの気持ちを表すこともありますよね。
気持ちをこめる場合、「拍手を贈る」では?
と迷う人もいるかもしれません。
贈呈などの気持ちをこめるときには、
「拍手を贈る」と書いても問題ないという辞典もあるのです。
気持ちを考慮すると、どちらも正解ですが、
一般的には「拍手を送る」が無難だと思います。
***

まとめ

今回は「送る」と「贈る」について見てきました。
耳で聞けば同じ言葉でも、
漢字にすると、気持ちの有無がわかるのは、
日本語の素敵なところだなと思いました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 

参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・類語例解辞典

 

 

こちらの記事も読まれています。