・部長はおられます。
この表現に違和感がありますか?
部長がいる ということを
尊敬語で伝えるときに見ます。
誤用なのではないか?思っている人もいると思います。
今回は「おられる」について、
見ていきましょう。
ひとことで表すと
・「おります」 → 謙譲語
*謙譲語 "おる" + 尊敬の助動詞 “れる” と捉える人が多いため、間違いと思われる
*尊敬の場合は「いらっしゃる」が無難
詳しい解説
△ 明日はおられますか?
◯ 明日はいらっしゃいますか?
いる の敬語
尊敬語 | 丁重語( 謙譲語 ) | 丁寧語 |
いらっしゃる おいでになる おられる |
おる | います |
・自分の行為や物事を丁重に述べて、相手への敬意を表す
・謙譲語の一種に分類することもある(謙譲語Ⅱ)
通常「おる」は、「おります」の形で使います。
今回の説明では、わかりやすくするために、
「おる」を丁重語ではなく、謙譲語と書きます。
おられる は違和感の理由
・部長はおられます。
謙譲語 "おる" + 尊敬の助動詞 “れる” と、
一般的に考えられるため、違和感を覚える人もいると思います。
簡単に書くと、以下のように考えると合理的です。
***
- 「おられる」は尊敬語
- 「おります」は謙譲語
しかし、間違いと捉える人も多いため、
尊敬として使う場合は、「いらっしゃる」にする方が無難。
メールや手紙など、文字にする場合も同様に、
「いらっしゃる」にしましょう。
補助動詞としての「いる」
「いる」は、他の動詞の後ろに付いて、
動作の状態や継続を表すこともあります。
このはたらきを、補助動詞といいます。
尊敬語 | 丁重語 ( 謙譲語 ) | 丁寧語 |
〜していらっしゃる 〜しておられる 〜しておいでになる |
〜しております | 〜しています |
・山田様は参加していらっしゃいます
・山田様は参加しておられます
〜していらっしゃる の場合、
長く、やや回りくどい印象がありませんか?
このように、補助動詞として使う場合は、
〜しておられる という表現にしている人も多いのです。
関西では自然な おられる
関西では、しばしば「いる」を「おる」と言います。
(例) 山田さん、そこにおる?
いわゆる方言なので、あくまで動詞であり、
いる の謙譲語としては使っていません。
動詞 "おる" + 尊敬の助動詞 “れる” として、
「おられる」という尊敬表現として、自然に使っているのです。
以上の理由から、
関西出身の人は、意外と違和感がないのかもしれません。
まとめ
今回は「おられる」について、見てきました。
尊敬語として誤解を招きそうな場合は、
無難な表現に言い換えるようにしたいですね。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・問題な日本語
・「言いたいこと」から引ける敬語辞典