間違いやすい「おざなり」「なおざり」の違い

 

「おざなり」と「なおざり」は似ている言葉ですが、
それぞれの意味は、わかりますか?

混同して使っている人がいますが、誤用にあたります。

今回は、2つの違いについて学んでいきましょう。

ひとことで表すと

おざなり
・意味:その場かぎりでいい加減に扱う。
・ニュアンス:いい加減ではあるが、一応することはする。

***

なおざり
・意味:軽く見て、いい加減にするさま。おろそか。
・ニュアンス:無視して放っておく。するべきことはしない。

 

詳しい解説

それぞれの意味を見て、違いを確認していきましょう。

おざなり(お座なり)
・うわべだけで誠意のない、その場かぎりの間に合わせであること
・その場逃れに、いい加減に物事をするさま

・英語:perfunctory
・類語:通り一遍、適当、いい加減、ぞんざい

 

「お座なり」と漢字で書くように、
座敷などでの“その場での間に合わせ”が語源で、江戸時代から使われている言葉です。

 

( 例 )
・おざなりにする
・おざなりの対策
・おざなりに報告する

なおざり(等閑)
・注意深くせず、いい加減にするさま。おろそか。
・物事を軽くみて、いい加減に扱うさま。

・英語:neglect(おろそかにする)、disregard(軽視する)
・類語:おろそか、かりそめ、軽視

 

語源ははっきりしていないものの、歴史的仮名遣いでは、“なほざり”と書きます。

なほ(直)ではない”という意味のようで、平安時代にはすでに使われていた言葉。

漢字では「等閑」と書きますが、これは漢語から訓読みとして“なおざり”をあてたものです。

 

( 例 )
・なおざりな返事
・規則をなおざりにする。

 

 

ここまで、おざなり・なおざりについて見てきました。

2つは“いい加減”という点では共通し、また言葉の響きが似ているため、
混同して使われることが多いようです。

語源や基本的な意味が違うので、正確に使いましょう。

 

例文・類語

簡単にまとめると、以下の通りです。

おざなり
・その場かぎりでいい加減に扱う。
・いい加減ではあるが、一応物事をすることはする。

 

なおざり
・おろそかにする。
・無視して放っておく。するべきことはしない。

意味を意識しながら、例文から2つの違いを見ていきましょう。

◯ おざなりな謝罪
× なおざりの謝罪

◯ おざなりに話し合う
× なおざりに話し合う

 

× 対策がおざなりにされた
◯ 対策がなおざりにされた

× 自分の身なりをおざなりにする
◯ 自分の身なりをなおざりにする

まとめ

今回は、「おざなり」と「なおざり」について見てきましたが、いかがでしたか?

言葉が似ていても、意味が違うので、正確に使っていきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

参考文献:
広辞苑第6版、明鏡国語辞典、問題な日本語、類語例解辞典
できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方

 

 

こちらの記事も読まれています。