相手に読んだかどうかを確認したいとき、
・拝読されましたか?
と言ったことはありますか?
実は、よくある間違いです。
今回は、「読む」の敬語表現について、
見ていきましょう。
ひとことで表すと
◯ お読みになりましたか
× ご拝読いただき、ありがとうございます
◯ お読みいただき、ありがとうございます
・「拝読」は、敬意の高い謙譲語
・“ご” をつけても尊敬表現にならない
詳しい解説
読む の敬語
尊敬語 | 謙譲語 |
読まれる お読みになる ご覧になる 読んでくださる お読みくださる ご覧くださる |
お読みする・お読みいたす 拝読する・拝読いたす 拝見する・拝見いたす 読ませていただく |
拝読(はいどく) の意味
・つつしんで読むこと
・読む の謙譲語
要望・依頼するときは、尊敬表現です。
- 読んでください
- お読みください
- ご覧ください
拝読 を使った尊敬表現はない
「拝読する」は、敬意の高い謙譲語です。
“する” → 尊敬語「される」「なさる」に変更して、
・拝読される
・拝読なさる
と、尊敬表現のように書くのは、誤用です。
・拝読されましたか
・拝読いただき
・ご拝読
頭に “ご” をつけて、「ご拝読」にしても、
尊敬語にはなりません。
「お」「ご」について、以下で詳しく解説しています。
例文と類語
間違いの多い表現を見ていきましょう。
× 拝読されましたか
× 拝読いたしましたか
◯ 読まれましたか
◯ お読みになりましたか
上司や目上の人に対して、“拝読” というのは誤用です。
尊敬語の “お読みになる” を使います。
敬意の度合いは、読まれる < お読みになる
× 拝読いただき、ありがとうございます
× ご拝読いただき、ありがとうございます
◯ 読んでいただき、ありがとうございます
拝読 に “ご” をつけて、
「ご拝読」にしても、尊敬表現にはなりません。
以下のように、言いましょう。
・お読みいただき
・ご覧いただき
× 拝読していただけますか
◯ 読んでいただけますか
◯ お読みいただけますか
読んでくれますか を敬語表現にして、相手に尋ねるときも、
“拝読” は使えません。
余談ですが、(自分が)読んだ と伝えるときも見てみましょう。
× 拝読させていただきました
◯ 拝読しました
◯ 拝読いたしました
拝読 + させていただく は、
謙譲語の二重敬語にあたるため、誤用です。
まとめ
今回は、「読む」の敬語表現について見てきました。
拝読 は丁寧な印象を与えられますが、
相手ではなく、自分に対して使いましょう。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・「言いたいこと」から引ける敬語辞典