「さ入れ言葉」とは?簡単な解説と見分け方

 

 

「さ入れ言葉」を聞いたことありますか?

最近増えてきている誤用表現です。

今回は、「さ入れ言葉」について、学んでいきましょう。

ひとことで表すと

さ入れ言葉」とは
“〜せる”が正しい形だが、さ を入れて “〜させる” にしたもの

***

<状況>
・“〜せていただく” で使うことも多い
・見分け方:“さ”を抜いて違和感がなければ、さ入れ言葉と判断可能

 

詳しい解説

それでは、確認していきましょう。

「さ入れ言葉」とは
“〜せる”が正しい形にもかかわらず、さ を入れて “〜させる”にしたものです。


謙譲語 “いただく”とセットにして、

“〜せていただく”で使うことも多いですね。

 

まずは、さ入れが正しいものを見ていきましょう。
日本語の文法の話です。

***

五段活用は間違えやすい!

***
  • 五段活用
    “〜ない”の形にしたとき、
    “ない”の直前の語の母音が、“ア”になる動詞

文章で書くと難しく見えるので、表にしてみました。
わかりやすく、“せていただく”にしています。

 

通常の五段活用は、さ が入らず、”〜せていただく" です。

動詞 〜ない 〜せていただく
行く 行かない 行かせていただく
歌う 歌わない 歌わせていただく

 

***

ちなみに、間違いやすいのですが、
さ行の五段活用は、“せる”ではなく、“させる”が正しいです。

動詞 〜ない 〜せていただく
試す 試さない せていただく
話す 話さない せていただく

上一段活用は、さ入れが正しい

***
  •  上一段活用
    “〜ない”の形にしたとき、
    “ない”の直前の語の母音が、“”になる動詞
動詞 〜ない 〜せていただく
着る 着ない せていただく


下一段活用は、さ入れが正しい

***
  • 下一段活用
    “〜ない”の形にしたとき、
    “ない”の直前の語の母音が、“”になる動詞
動詞 〜ない 〜せていただく
食べる 食べない 食べせていただく
決める 決めない 決めせていただく

 

 

来る は、さ入れが正しい

***
  • カ行変格活用・・“来る” のみ
動詞 〜せていただく
来る せていただく

 

例文・類語

前述した形以外の動詞は、“〜せる”が正しい表現ですが、
誤って、“さ”を入れてしまったものが、「さ入れ言葉」なのです。

誤用の例を見てみましょう。

正しい表現 さ入れ言葉 (誤用)
送らせていただく 送らせていただく
帰らせていただく 帰らせていただく
使わせていただく 使わせていただく
休ませていただく 休ませていただく

 

***

さ行の五段活用と、ごちゃ混ぜになって、
丁寧さを意識するあまり、“さ”を入れてしまうことが起こります。

 

誤用かどうか見分けるポイントは、
一度 “さ”を抜いて、違和感がないかを確認することです。

<さ入れ言葉>
書かさせていただく → 書かせていただく

 

<さ入れ言葉ではない>
食べさせていただく → 食べせていただく


“させて”が正しい場合は、“さ”を抜くことで、

文章が成立しなくなるか、意味が変わってしまうので、一目瞭然ですね。

まとめ

今回は、「さ入れ言葉」について見てきましたが、いかがでしたか?

無意識に、“さ”が入れたこともあるかもしれませんね。
誤用なので注意していきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

参考文献:
広辞苑第6版、明鏡国語辞典、
できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方

 

 

こちらの記事も読まれています。