●更新日:2023/06/12
「押印」と「捺印」には、どちらも
印鑑を押す という意味があります。
これらに違いはあるのでしょうか?
ビジネスシーンで、電子化が進んでいるとはいえ、
印鑑を押す機会は0ではないと思います。
今回は、押印と捺印の違いについて、見ていきましょう。
ひとことで表すと
- 押印 → 印鑑だけ(署名を求めない)
- 捺印 → 署名と印鑑がセット
詳しい解説
押印は印鑑だけ
押印
読み方:おういん
意味:印鑑を押すこと
押印は、“記名押印” が省略された形です。
他人が代わって書く・印刷・ゴム印を押すなどによって、
氏名を記すこと
*
自筆以外、つまり署名以外の方法で、氏名を記載することが記名です。
印刷された名前、ゴム印、タイプ、代筆された名前でもOK。
つまり押印とは、
自筆以外の方法で、名前が書いてある箇所に、印鑑を押すこと。
署名や記名もない箇所の場合もあります。
捺印は署名と印鑑
捺印
読み方:なついん
意味:印判を押すこと・押した印
捺印は、“署名捺印”が、省略された形です。
つまり、直筆の署名とともに印鑑を押すこと。
文書に自分の姓名を書き記すこと
手書きした直筆のサインを、署名といいます。
本人の意思に基づいて作成された書面 であると示すもの。
法的な証明力が高いため、筆跡鑑定に用いられます。
もちろん署名なので、本人が書いたものだけが有効です。
ただし現在では、暗号化した電子署名も認められています。
著名と記名についてまとめると、以下の通りです。
- 署名・・文書に自分の姓名を書き記すこと(直筆)
- 記名・・署名以外の方法で、氏名を記載すること
印刷、ゴム印、タイプ、代筆など
押捺は拇印のこと
押印・捺印と似た言葉である「押捺」についても、説明します。
押捺
読み方:おうなつ
意味:親指に朱肉や墨をつけて、指紋を押すことを指す
つまり押捺とは、拇印のことです。
印鑑を押すときには、あまり使いません。
例文
以下の2つの文章、違いはあるでしょうか?
(A)署名と押印をお願いします
(B)捺印をお願いします
押印は、印鑑を押すこと。
よって、(A)は署名して、印鑑を押せばOKです。
捺印は、署名とともに印鑑を押すことです。
つまり(A)と(B)は、同じ意味を表しているのです。
まとめ
今回は、押印と捺印の違いについて、見てきました。
印鑑を押す場面では、
署名が必要かどうか確認してみましょう。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・類語例解辞典