「お座りください」は失礼?理由と正しい伝え方

 

敬語では「座ってください」を、どのように言いますか?

・お座りください

“お〜する”に当てはめてみましたが、
意外と聞かないかもしれませんね。

 

今回は「お座りください」について、学んでいきましょう。

 

ひとことで表すと

お座りください。
お掛けください。

***

“お座り”は、犬のしつけや子どもなど目下への印象が強い
→ 敬語としては、避けるほうが無難

 

詳しい解説

まずは、座る の敬語表現を見ていきましょう。

座る について

尊敬語
座られる・お座りになる・お座りくださる
お掛けになる・お掛けくださる

***

謙譲語
座らせていただく・掛けさせていただく
(相手に)座っていただく・お座りいただく・掛けていただく・お掛けいただく

***

座る より 掛ける のほうが、柔らかい印象になります。

席に着く という場合は、「着席する」と表現してもいいですね。

お座りください はNG !?

“お〜くださる”は、相手の行為に対する尊敬表現です。

つまり、お座りください は敬語の文法としては正しいのです。

とはいえ、“お座り”という言葉には、
以下のように使われる印象がありませんか?

  • 犬に対して「お座り!」
  • 赤ちゃんに対して「お座りしようね」

犬のしつけや子どもなどに使う言葉でもあります。

敬意を払う相手には、使わないほうがよいでしょう。

座る・着く・掛ける の違い

私たちは、無意識に使い分けていますが、
実は、以下のような違いがあります。

***

座る
腰を下ろす動作全般 (椅子・床・地面なんでも)

着く
実際の動作ではなく、ある場所に位置を占めるという意味合いが強い
(席以外で使うことは少ない)

掛ける
椅子・ソファー・ベンチなどに座ること (× 地面)
(鍵を掛ける など、一般的には、ある場所で物や人を支えとめるという意味)

例文・類語

座る・掛ける・着席する、それぞれの表現を見てみましょう。

***

<尊敬語>

△こちらにお座りになって、お待ちください。
△こちらに座られて、お待ちください。
◯ こちらにおかけになって、お待ちください。

***

△どうぞお座りください
◯ どうぞおかけください
◯ どうぞご着席ください

***

<謙譲語>

(相手に対して)
◯ こちらにおかけいただけますか
ご着席いただけますか

***

(自分に対して)
◯ それでは座らせていただきます

***

まとめ

今回は「お座りください」について見てきました。

座る・掛ける・着席する、TPOに合わせて使っていきたいですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

参考文献:
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・類語例解辞典
・「言いたいこと」から引ける敬語辞典
・できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方
・大人の語彙力が使える順できちんと身につく本

 

 

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