敬語では「座ってください」を、どのように言いますか?
・お座りください
“お〜する”に当てはめてみましたが、
意外と聞かないかもしれませんね。
今回は「お座りください」について、学んでいきましょう。
ひとことで表すと
◯ お掛けください。
“お座り”は、犬のしつけや子どもなど目下への印象が強い
→ 敬語としては、避けるほうが無難
詳しい解説
まずは、座る の敬語表現を見ていきましょう。
座る について
座られる・お座りになる・お座りくださる
お掛けになる・お掛けくださる
謙譲語
座らせていただく・掛けさせていただく
(相手に)座っていただく・お座りいただく・掛けていただく・お掛けいただく
座る より 掛ける のほうが、柔らかい印象になります。
席に着く という場合は、「着席する」と表現してもいいですね。
お座りください はNG !?
“お〜くださる”は、相手の行為に対する尊敬表現です。
つまり、お座りください は敬語の文法としては正しいのです。
とはいえ、“お座り”という言葉には、
以下のように使われる印象がありませんか?
- 犬に対して「お座り!」
- 赤ちゃんに対して「お座りしようね」
犬のしつけや子どもなどに使う言葉でもあります。
敬意を払う相手には、使わないほうがよいでしょう。
座る・着く・掛ける の違い
私たちは、無意識に使い分けていますが、
実は、以下のような違いがあります。
座る
腰を下ろす動作全般 (椅子・床・地面なんでも)
着く
実際の動作ではなく、ある場所に位置を占めるという意味合いが強い
(席以外で使うことは少ない)
掛ける
椅子・ソファー・ベンチなどに座ること (× 地面)
(鍵を掛ける など、一般的には、ある場所で物や人を支えとめるという意味)
例文・類語
座る・掛ける・着席する、それぞれの表現を見てみましょう。
<尊敬語>
△こちらにお座りになって、お待ちください。
△こちらに座られて、お待ちください。
◯ こちらにおかけになって、お待ちください。***△どうぞお座りください。
◯ どうぞおかけください。
◯ どうぞご着席ください。
<謙譲語>
(相手に対して)
◯ こちらにおかけいただけますか。
◯ ご着席いただけますか。***(自分に対して)
◯ それでは座らせていただきます。
まとめ
今回は「お座りください」について見てきました。
座る・掛ける・着席する、TPOに合わせて使っていきたいですね。
参考文献:
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・類語例解辞典
・「言いたいこと」から引ける敬語辞典
・できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方
・大人の語彙力が使える順できちんと身につく本