申し伝える?お伝えする? 意味と正しい使い方

 

「承知しました。弊社の◯◯にお伝えします。」

自社の社員に対する伝言を頼まれたとき、
このように返事をする人を、よく耳にします。

…実は、間違った表現なのです。

敬語表現の誤用は、避けたいですよね。

今回は、「伝える」の敬語表現について、見ていきましょう。

 

ひとことで表すと

× 弊社の担当者にお伝えします
弊社の担当者に申し伝えます

***

「お伝えします」・・弊社の担当者 に対する敬語表現
「申し伝えます」・・相手の言葉 に対する敬語表現

 

詳しい解説

さっそく、例文を解説していきましょう。

 

× 弊社の担当者にお伝えします。
◯ 弊社の担当者に申し伝えます。

 

「お伝えします」にすると、
弊社の担当者 に対する謙譲表現で、身内を高めることになります。

話をしている相手ではなく、
身内に敬意を払うのは、もちろん誤用ですね。

 

身内ではなく、相手の言葉 を敬う形にしなければいけません。

相手の言葉を伝言する ということを、
敬語にするときは、「申し伝える」を使います。

伝える・言い伝える

伝える
<意味>
・言葉などで、ある内容や事柄を知らせる
・次々に後世へと語りつぐ

  • 尊敬語:お伝えになる・お伝えくださる 等
  • 謙譲語:お伝えする・お伝え申す・伝えさせていただく
                  (相手に) 伝えていただく・お伝えいただく
***

言い伝える
<意味>
・後世に語り伝える
・話を取り次ぐ、伝言する

  • 尊敬語:(伝言として) ご伝言・お言付け(おことづけ)
  • 謙譲語(丁重語):言い伝える
丁重語 とは
・自分の行為や物事を丁重に述べて、相手に対する敬意を表す表現
・謙譲語Ⅱとして、謙譲語の一種に分類することもある
***

例文・類語

ここで、さまざまな「伝える」の敬語表現を、見ていきましょう。

<尊敬語>
・お父様へよろしくお伝えください
・お気持ちをお伝えになりましたか

 

ちなみに、“お伝えになられる” とするのは、
お伝えになる(尊敬語) + なられる(尊敬語)二重敬語にあたるためNG。

***

 

<謙譲語>
・皆様へお伝えしたいことがあります。
・日時の変更については、お伝えしました。

 

ちなみに、“お〜いただく”は、相手への謙譲表現ですが、
お〜する” は、自分を低めることで相手を敬う表現です。

伝えしていただく” とするのはNGです。

***

まとめ

今回は「伝える」の敬語表現について、見てきました。

最初は慣れないと思いますが、
少しずつ「申し伝えます」と言えるようにしたいですね。

尊敬語・謙譲語について、
詳しく知りたい人は、以下も合わせて読んでみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

参考文献:
広辞苑第6版、明鏡国語辞典
「言いたいこと」から引ける敬語辞典
できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方

 

 

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