「承知しました。弊社の◯◯にお伝えします。」
自社の社員に対する伝言を頼まれたとき、
このように返事をする人を、よく耳にします。
…実は、間違った表現なのです。
敬語表現の誤用は、避けたいですよね。
今回は、「伝える」の敬語表現について、見ていきましょう。
ひとことで表すと
◯ 弊社の担当者に申し伝えます。
「お伝えします」・・弊社の担当者 に対する敬語表現
「申し伝えます」・・相手の言葉 に対する敬語表現
詳しい解説
さっそく、例文を解説していきましょう。
× 弊社の担当者にお伝えします。
◯ 弊社の担当者に申し伝えます。
「お伝えします」にすると、
弊社の担当者 に対する謙譲表現で、身内を高めることになります。
話をしている相手ではなく、
身内に敬意を払うのは、もちろん誤用ですね。
身内ではなく、相手の言葉 を敬う形にしなければいけません。
相手の言葉を伝言する ということを、
敬語にするときは、「申し伝える」を使います。
伝える・言い伝える
伝える
<意味>
・言葉などで、ある内容や事柄を知らせる
・次々に後世へと語りつぐ
- 尊敬語:お伝えになる・お伝えくださる 等
- 謙譲語:お伝えする・お伝え申す・伝えさせていただく
(相手に) 伝えていただく・お伝えいただく
言い伝える
<意味>
・後世に語り伝える
・話を取り次ぐ、伝言する
- 尊敬語:(伝言として) ご伝言・お言付け(おことづけ)
- 謙譲語(丁重語):言い伝える
・自分の行為や物事を丁重に述べて、相手に対する敬意を表す表現
・謙譲語Ⅱとして、謙譲語の一種に分類することもある
例文・類語
ここで、さまざまな「伝える」の敬語表現を、見ていきましょう。
<尊敬語>
・お父様へよろしくお伝えください。
・お気持ちをお伝えになりましたか。
ちなみに、“お伝えになられる” とするのは、
お伝えになる(尊敬語) + なられる(尊敬語) の二重敬語にあたるためNG。
<謙譲語>
・皆様へお伝えしたいことがあります。
・日時の変更については、お伝えしました。
ちなみに、“お〜いただく”は、相手への謙譲表現ですが、
“お〜する” は、自分を低めることで相手を敬う表現です。
“お伝えしていただく” とするのはNGです。
まとめ
今回は「伝える」の敬語表現について、見てきました。
最初は慣れないと思いますが、
少しずつ「申し伝えます」と言えるようにしたいですね。
尊敬語・謙譲語について、
詳しく知りたい人は、以下も合わせて読んでみてください。
参考文献:
広辞苑第6版、明鏡国語辞典
「言いたいこと」から引ける敬語辞典
できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方