「従来からの方法です。」
この表現、実は二重表現だと気づきましたか?
このように、よく見かけるけれど
本来は二重表現なものが、他にもあります。
今回は、慣用的になりつつある二重表現について、
学んでいきましょう。
ひとことで表すと
同じような意味の語を重ねて使う言い方
<慣用的になりつつある二重表現>
・ 一番最初 / 一番最後
・ 従来から
・ 歌を歌う / 指を指す
・ 最後の切り札
詳しい解説
二重表現とは
二重表現とは
同じような意味の語を重ねて使う言い方
重言(じゅうげん・じゅうごん)ともいいます。
(例)
× 後で後悔する → ◯ 後悔する
× 頭痛が痛い → ◯ 頭痛がする・頭が痛い
二重表現は、キレイな文章じゃない・字面が悪くて冗長…
という印象を受ける人もいるため、通常は避ける方がよいでしょう。
ところが、二重表現のなかには、
使用頻度が高いため、慣用的になってきたものもあります。
一番最初 / 一番最後
最初 は “もっともはじめ” と書くように、
一番はじめ という意味。
最後 も “もっともうしろ”と書くように、
最も後である という意味。
そこに、もっとも の意味である “一番” を前に付けることで、
二重表現にあたりますが、よく見られます。
従来から
従来 は、以前から今まで・これまで という意味。
つまり、 “から” という意味合いも含んでいるので、
従来から → 以前から / 従来 とするのが本来は正解。
名詞と動詞で二重表現4つ
- 遺産を遺す
- 歌を歌う
- 犯罪を犯す
- 指を指す
文字にすると、同じ漢字を2回書くので、一目瞭然ですね。
でも、無意識に使っちゃいますよね。
4つとも小説やニュースのなかでも、よく見かけますが、
こうしてみると、本来は二重表現といえるでしょう。
以下のように、書き換えて使うこともあります。
・遺産を遺す → 遺産を残す(財産を残す)
・犯罪を犯す → 罪を犯す
・指を指す → 指を差す / 指をさす
最後の切り札
切り札 とは、カードゲームで他のカードに優先して勝てるカードのこと。
転じて、とっておきの有力な手段、最後の手段 という意味に、
使われるようになりました。
最後の手段 という意味で使う場合、
“最後の切り札”というと二重表現ですが、よく見ます。
酒の肴
肴(サカナ) には、“酒菜(サカナ)” の意味があるように、
酒を飲むときのおつまみ のことです。
例:うわさ話を肴に飲もうよ。
お酒と一緒に食べる物をさすので、
酒の肴 は本来二重表現ですが、最近では当たり前のように聞きますね。
まとめ
今回は、慣用的になっている二重表現について、見てきました。
広く使われていますが、
本来は二重表現だと知っておくことは、大切だと思います。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・ブリタニカ国際大百科事典
・できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方