相手の状況を確認したいとき、
「どういたしましたか?」という表現を使ったことはありますか?
これは「どうしましたか」を敬語するときに、
完全に間違えたパターンです。
仕事上では、特に正しい敬語を使いたいですよね。
今回は、「どういたしましたか」が誤用である理由について、
見ていきましょう。
ひとことで表すと
◯ どうされましたか / どうなさいましたか
◎ いかがなさいましたか
・“いたす”は、自分の行為を丁寧に述べるときの表現
・相手の行為には、“される” “なさる”
・“いかが” は、“どう”の丁寧な形
詳しい解説
どれも「どうしましたか」を、
もう少し丁寧な敬語にしたいときに見られる表現です。
× どういたしましたか
◯ どうされましたか
◯ どうなさいましたか
◎ いかがなさいましたか
◯×の理由を、解説していきます。
[動詞] する について
尊敬語 | 謙譲語 | 丁重語 |
される・なさる | させていただく | いたす |
・自分の行為や物事を丁重に述べて、相手への敬意を表す
・謙譲語の一種に分類することもある(謙譲語Ⅱ)
尊敬語の敬意としては、される < なさる です。
◯ どうされましたか
◯ どうなさいましたか
どちらも敬語として正しいですが、
少し丁寧にしたいときは、どうなさいましたか がよいでしょう。
相手に いたす はNG
通常“いたす”は、丁寧表現の“ます”を付けて、
「いたします」の形で使います。
また、丁重語で説明した通り、
“いたす”は、自分の行為に対する表現。
つまり、相手に使うのは、誤用なのです。
× 何にいたしますか
◯ 何にされますか
◯ 何になさいますか***
× どういたしましたか
◯ どうされましたか
◯ どうなさいましたか
実際、どういたしましたか という表現を、
時々見かけるので、注意しましょう。
どう と いかが の違い
いかが (如何) の意味
・「どう」の丁寧な形
・主に相手の様子や気持ちを聞くとき、誘うとき、疑問を挟むときに用いる
(例)
相手の様子を聞くとき
・ご機嫌いかがですか
・いかがお過ごしでしょうか***誘うとき
・お茶でもいかがですか***
疑問を挟むとき
・それはいかがなものでしょうか
“どう” でも間違いではありませんが、
“いかが” にすると、丁寧さがアップします。
まとめ
今回は、「どういたしましたか」が誤用である理由について、
見てきました。
“いたす”は自分への行為で、
相手を敬うときは、“される” “なさる”にすることを
しっかり頭に入れて、使っていきましょう。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・類語例解辞典
・「言いたいこと」から引ける敬語辞典