意外と間違う「存じ上げる」と「存じる」正しい使い分け

 

●更新日:2023/05/22

ビジネスシーンで「存じ上げる」を使うことがあると思います。

上司や取引先の相手など、目上の人に対して使う言葉です。

「存じる」と似ていることもあり、実は間違いが多い表現の一つ。

今回は、「存じ上げる」について、
見ていきましょう。

***

ひとことで表すと

・対象が「」  → 存じ上げる
(例) その方のお名前は、存じ上げております。
*
・対象が「物事」 → 存じる
(例) その件については存じています。

詳しい解説

存じる の意味

存ずる(存じる)
・知る の謙譲語
・思う・考える の謙譲語

(例) ご迷惑とは存じますが、よろしくお願い申し上げます。

存じ上げる は謙譲語、存じる は丁重語
とするものもあります。

一般的に「存じる」は、
対象が、人以外のときに使います。

(例) その件については、存じております。

***

存じ上げる の意味

存じ上げる
上記の謙譲語である「存ずる」の、
謙遜の度合いを、さらに高めていう言葉

(例) よく存じ上げております。

「存じ上げる」について、もう少し詳しく見てみます。

存じ上げる = 存じ + 上げる

*
“上げる”は、たくさん意味があります。

この場合は、動詞に付いて、
その動作の対象をあがめて敬う意味や、へりくだった気持ちを添えます。

簡単に書くと、“人を敬う”というニュアンスです。

つまり「存じ上げる」は、対象がのときに使います。

× 山田様のことは、かねてから存じております。
◯ 山田様のことは、かねてから存じ上げております。

 

通常は、存じる・存じ上げる よりも、
“知っている”の形で、
存じている・存じ上げている を使うことが多いと思います。
*

  • 存じています / 存じております
  • 存じ上げています / 存じ上げております

 

言い換え表現

知っている の謙譲語である「存じ上げております」は、
以下のように言い換えることができます。
*

  • 承知しております
  • うかがっております
  • お聞きしております
    *

(例)
・その方のお名前は、存じ上げております。
・その方のお名前は、うかがっております。

***

まとめ

今回は、「存じ上げる」について見てきました。

対象が、人か物事によって、
“存じる”と、正しく使い分けていきたいですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方

 

こちらの記事も読まれています。