●更新日:2023/08/28
・なにげに面白い
普段、なにげに という表現を使いますか?
・なにげない風を装う
なにげない との関係性を見ると、
なにげに の意味や使い方には、注意が必要なのです。
今回は「なにげに」について、見ていきましょう。
ひとことで表すと
・意味:これといった特別の意図もない
・何気ない・何気なく から生まれた誤用
・“意外に”という意味で使われることもある
詳しい解説
なにげない の意味
なにげない
・漢字:何気ない
・形容詞
・意味
はっきりとした考えや深い意図もなく、ふるまうさま
特に注意せず、関心を示さない
(例)
・何気ないふうをよそおう
・何気ない一言が胸に突き刺さる
・何気なく窓の外を見る
同じく、なにげなく という意味で、
“なにげなしに”という表現もあります。
なにげなしに
・漢字:何気なしに
・副詞
(例) 何気なしにいった言葉で傷つけた
なにげに は誤用
なにげに は、
1980年代から、なにげなく が変化して、
若者を中心に誤って使われ始めた表現です。
いわゆる誤った若者言葉。
◯ なにげなくそうした
× なにげに そうした
誤用ですが、
令和3年度の文化庁の調査によると、
少しずつ使っている人が47%という結果に。
(例) なにげに面白い
これは、“意外に”という意味で使われています。
なにげに は、このような場合も多いですが、
本来の意味ではありません。
これも誤用から広まったものです。
誤用が生まれた理由
なにげに が生まれた理由について、
少し解説します。
元々の正しい言葉である、
「なにげない(何気ない)」 の “何” は、
何となく・何の〜もない の“何”と同じ意味合いです。
- “何”の意味1. そこにふさわしい何か
なにげ + ない → そこにふさわしい何かがない
= しかるべき意図や考えがない
(例) 何げなく窓の外を見る
これが本来の解釈です。
*
- “何”の意味2. はっきりとしない状況
(例)
・なんか寂しい
・何かと忙しい
これらで使う“何”は、はっきりとしない状況 です。
この意味合いで “なにげに” を解釈すると、
“ない”がなくても、「なにげ」だけで、
はっきりしない・漠然とした という意味をもちます。
(例) なにげに窓の外を見る
このような解釈から、
なにげに という言い方が生まれたと考えられています。
まとめ
今回は「なにげに」について、見てきました。
無意識に、なにげに を使っている自分に気付きました。
同じように、
さりげに も、さりげなく から生まれた誤用です。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・問題な日本語
・文化庁 令和3年度「国語に関する世論調査」