「ご持参ください」は正しいって本当!? 解説

 

「持ってきてください」を敬語表現にしたいとき、
以下の2つを使うことが多いと思います。

・ご持参ください
・お持ちください

しかし、“ご持参ください”は誤用だと
聞いたことある人がいるかもしれませんね。

今回は「ご持参ください」について、見ていきましょう。

 

ひとことで表すと

◯ ご持参ください

・ご持参 は相手に対して使ってよい (文化庁より)
・二重敬語や間違った表現ではないかと、誤解されやすい

***

◎ お持ちください

・正しい表現に言い換えるほうが無難

 

詳しい解説

まずは、”持参”について見ていきましょう。

持参の意味

持参
持って行くこと、持って来ること

持って行く
尊敬語:持って行かれる・持っていらっしゃる・持参される・ご持参なさる
丁重語:持って参る・持参いたす

持って来る
尊敬語:持って来られる・持っていらっしゃる・持参される・持参なさる
丁重語:持って参る・持参いたす

***

 

丁重語 とは
・自分の行為や物事を丁重に述べて、相手に対する敬意を表す表現
・謙譲語Ⅱとして、謙譲語の一種に分類することもある

 

***

持って行く・持って来る の尊敬語・丁重語が、ほとんど被っていますが、
例文をみると、違いがわかると思います。

<持って行く>
・筆記用具を持っていらっしゃる方がいいと思います。
・万が一に備えて、胃薬を持参いたします

***

<持って来る>
・筆記用具を持っていらっしゃいましたか。
・昼食に弁当を持参いたしました

 

「持参ください」は正しい!?

“持参”は、文字通りに解釈すると、”持って参る”。

謙譲表現だから、自分の行為には使えるけれども、
相手に対してはNGと捉えるという考えがあります。

また”ご”をつけて、「ご持参」としても、
尊敬語にはならないと書いてあるものも多いです。

***

 

前述の通り、持参 自体に直接、持って参る という意味はありません

文化庁から、「ご持参ください」の“参”には、
丁重語としてのはたらきはないため、相手側の行為に使ってよいと、
はっきり提示されています。

つまり誤用ではなく、正しい表現であるとお墨付きがあるのです。

とはいえ、以下の理由により、
二重敬語ではないかという捉える人もいます。

ご持参 + ください
ご持参・・ご が付くから尊敬語
ください・・くれ の尊敬語

言い換え

誤解を避けたい場合は、以下のような正しい表現に、言い換えるとよいですね。

 

・お持ちください
・ご用意ください

 

ちなみに、“ご〜する”は自分に対する謙譲語なので、
「ご用意してください」は、誤用です。注意しましょう。

まとめ

今回は「ご持参ください」について、見てきました。

正しいけれど、誤用と思われやすい表現だとわかりましたね。
使うときは覚えておきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

参考文献:
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・「言いたいこと」から引ける敬語辞典
・できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方
・文化庁「敬語の指針 平成19年2月2日 文化審議会答申

 

 

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