●更新日:2023/08/24
・耳ざわりのよい音楽
時々見かける表現ですが、使ったことはありますか?
実は、誤用と考えるケースが多いのです。
今回は「耳ざわり」について、見ていきましょう。
ひとことで表すと
正:耳障りな
*
・意味:聞いていて不快になること
・“耳触り”の意味で使っているケースが多い
詳しい解説
耳ざわり
漢字:耳障り
読み方:みみざわり
耳障り について
意味:聞いていて不快に感じること
(例)
・耳障りな話
・耳障りな雑音
“耳に障る(さわる)”を名詞にした形と
考えることができます。
耳触り と捉えて、「耳障りがよい」とするのは
一般的に誤用です。
“障る”という動詞は、耳以外にも、
他の部位でも使われています。
・気にさわる
・体にさわる
・神経にさわる
もともとは、妨げや障害となるという意味です。
誤用が生まれる理由
障る と 触る は、
どちらも“さわる”と読みます。
同音異義語です。
「〜障り(さわり・ざわり)」
・目障り
・耳障り
・気障り
・差し障り
「〜触り(ざわり)」は、
何かに触れたときの感覚を表します。
・歯触り
・舌触り
・手触り
・肌触り
・口触り
このように
「耳障り」と漢字で書くことで、誤用は減りそうです。
しかし、多くは「耳ざわり」と書くため、
意味の区別が難しいのかもしれません。
また、話していると、
なおさら区別が付きにくいもの。
そのため、
さわる = 触る の意味で捉えることも多いのです。
以上から、
耳ざわり → 耳に触れる感覚(聞いたときの感じ)
という意味に解釈されるようになった、という背景があります。
一般的な解釈は、耳障り
最近は、
聞いたときの感じ という意味の、“耳触り”として、
書かれている辞書もあります。
しかし現時点では、一般的に、
耳ざわり と聞くと、“耳障り”と解釈して
聞いていて不快な気持ちになる と捉える人が多いです。
聞いたときの感覚という意味合いで、
“耳触り”を使うときは、言い換えるほうがいいでしょう。
言い換え表現
・聞こえのよい
・聞き心地のよい
・耳当たりのよい
・耳心地のよい
・耳に心地よい
まとめ
今回は「耳ざわり」について、見てきました。
書くときはもちろん、聞いても、
誤解のないような言葉を、選んで使っていきたいですね。
参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・問題な日本語
・できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方
・文化庁 言葉のQ&A 「耳ざわり」は「障り」か「触り」か