「お掛けになられて」は誤用!尊敬語の正しい使い方

 

●更新日:2023/08/30
・お掛けになられて、お待ちください
とある受付で、このように言われました。
座って待ってね という意味ですが、
違和感を覚えた人はいませんか?
この表現、実は間違いなんです。
今回は「お掛けになられて」について、
見ていきましょう。
***

ひとことで表すと

× お掛けになられて、お待ちください
◯ お掛けになって、お待ちください
*
 → お掛けになられて は二重敬語のため誤り

詳しい解説

座る の敬語

尊敬語 謙譲語
座られる
お座りになる
お座りなさる
座ってくださる
お座りくださる
お掛けになる
お掛けなさる
掛けてくださる
お掛けくださる
座らせていただく
掛けさせていただく
*
(相手に)
座っていただく
お座りいただく
掛けていただく
お掛けいただく
***

二重敬語は誤用

  • 動詞:掛ける
通常、「お〜になる」にするだけで、
相手の行為に対する尊敬語です。
◯ お掛けになって
この“なる”に、
尊敬の助動詞「れる」を加えて、“なられる”にすると、
お〜になられる」になります。
丁寧な表現に見えますが、
二重敬語なので、誤用です。
× お掛けになられて
相手に伝えるときは、
正しい表現の「お掛けになって」にしましょう。
***

掛ける と 座る

・お掛けになって、お待ちください
これを通常の文章にすると、
「座ってお待ちください」です。
“掛ける”は、“座る”よりも
柔らかい印象になります。

ここで、座る を、
そのまま尊敬語にする場合を、考えてみましょう。
お座りになって、お待ちください
尊敬表現「お〜になる」にしているため、
日本語の文法は、問題ありません。
しかし、“お座り”という言葉が、
尊敬語として、ふさわしくないとされています。
その理由は、
  • 犬に「お座り」
  • 赤ちゃんに「お座りしようね」
のように使うことが多いから。
尊敬する相手というよりも、
犬や赤ちゃんへの言葉という印象が強いのです。
よって、「お掛けになって」がよいでしょう。 
詳しくは、こちらに書いています。
もっと知りたい人は、合わせて読んでみてください。
***

まとめ 

 今回は「お掛けになられて」について、見てきました。
丁寧にしようとして、
二重敬語になってしまうは、本末転倒です。
正しい敬語で伝えるよう、気を付けていきたいですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 

 

参考文献
・広辞苑第6版
・明鏡国語辞典
・「言いたいこと」から引ける敬語辞典
・できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方

 

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